日本移民学会について

学会長からのメッセージ

2022-2023年度会長 竹沢泰子

2022年度

 2022年6月から坂口満宏前会長の後を引き継ぎ、2年間会長を務めさせていただきます竹沢泰子です。会員の皆様のご意向をなるべく反映する学会運営に努め、日本移民学会のさらなる発展のために、微力ながら尽力したいと考えております。

 現在、新型コロナウィルス感染症の蔓延に加えて、プーチン政権によるウクライナ侵攻や中国政府による勢力拡大等により、中露およびその同盟国と日米とその同盟国等の対立が先鋭化しています。私たち人類は、第二次世界大戦終結以降のなかで、最も危機的な状況に直面しているといっても過言ではありません。これらの世界情勢は、いずれも移民・難民・避難民を巻き込む古くて新しい問題を私たちに突きつけています。人びとの移動はこれらの国に限らず、国際移住機関によると、2022年現在世界人口の約30人に1人以上(3.6%)の人びとが自分の生まれた国以外の国に住んでいるのです。こうした現代が直面している問題を理解し、それらの対応を考える時、歴史を紐解けば、あるいは他地域に目を転ずれば、何らかのヒントが見いだされる場合も少なくありません。移民研究はこれまで以上にその役割を発揮することが求められていると言えるでしょう。

 1991年に創設された日本移民学会は、昨年30周年を迎えました。当初は日系人に関する研究が大半を占めていましたが、近年では、日本国内やアジア、ヨーロッパなどの移民に関する研究も増えており、多様化しています。しかしそれらはけっして切断してはおらず、たとえば現在日本社会において一部のロシア系や中国系の人びとが嫌がらせを受けている状況は、第二次世界大戦中に強制隔離・収容された海外日系人らの経験を想起させます。

 日本移民学会のもう一つの特徴は、大学や研究機関に所属する会員だけではなく、海外移住と縁のある地域に密着して、または個人的関心に基づいて、移民研究を行っている方々も少なくないことです。年齢的にも20代前半から80代に至るまで多様です。それぞれの特性を活かして移民研究全体に寄与できる学会であってほしいと思います。しかしそれは、何でもいい「ゆるい」学会のあり方を意味するのではありません。どのような立場からであれ、それぞれの「得意」を活かしつつ、根拠に基づく説得力のある議論が活発に交わされる学術的コミュニティとしてさらに発展することをみなさまとともに目指したいと思います。

 2022年6月25-26日京都大学で開催された第31回大会は、3年ぶりの対面開催となり、100名以上の参加者を得て盛況のうちに終了しました。とくに、初日の大会企画シンポジウム「異邦に生きる移民の高齢化と弔い」は、極めて重要かつタイムリーなテーマで、移民研究の新たな頁を開いたと言えるでしょう。

 日本移民学会は、毎年12月に開催される冬季研究大会にも力を入れてきました。今年は一日目の12月10日には、学会外にも開かれた次世代リレートークを開催する予定です。常勤職を持たない次世代研究者に限定した上で、交通費の補助・コメンテーターによるフィードバック・ベストペーパー賞授与などにより、移民学会として次世代研究者のキャリアアップを応援する企画です。2日目の11日は、日本国内はもちろんのこと海外からも幅広く参加できるようにオンラインにて自由論題やラウンドテーブルを開催します。

 2023年6月刊行予定の『移民研究年報』第29号では、「異邦に生きる移民の高齢化と弔い」特集の投稿論文、自由投稿論文、書評などで構成される予定です。

 これから2年間、学会理事、各種委員会委員、それに四役(会長、李里花副会長、佃陽子副会長、高橋典史事務局長)が互いに協力しながら、公正性と透明性の高い学会運営を目指してまいります。会員のみなさまの忌憚のないご意見・ご要望をお待ちしております。

理事会・各委員会体制

2023年度理事会

2023年度理事会・各委員会体制

日本移民学会会則

日本移民学会会則

会員数

391人(2022年8月10日現在)


日本移民学会ロゴマークについて

ロゴ

日本移民学会の英訳「the Japanese Association for Migration Studies」の頭文字を構成しています。曲線による全体的なつながりは、移民・移住がもたらす様々な課題や問題を表すと同時に、多様な分野にわたる研究活動を行っている本学会の特徴を意味しています。
 また「j」は本学会員を象徴し、「AMS」の部分は「人々」がお互いに手を合わせている姿をイメージ化したものです。さらに、三つの丸点は「衣・食・住」の三要素を示しています。
 テーマカラーは「青」と「赤」。移住のためにわたってくる「海」と研究者たちの「情熱」をそれぞれに象徴しています。
 有機的に広がっていくこのロゴタイプは、日本移民学会が未来に向けて発展していくことを願い、その期待を込めてデザインしています。
(デザイン:金ミンコン、監修:正木賢一)

事務局・事務支局

《事務局》(本会全体に関する事項)

〒112-8606 
東京都文京区白山5-28-20
東洋大学社会学部 高橋典史研究室気付
日本移民学会事務局
E-mail: imingakkai@gmail.com
*本学会へ書籍等をご恵贈いただく際には、編集委員会宛にお願いいたします。

《事務支局》(入退会、会費の納入、名簿登録事項の変更などの諸手続き)

〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル西大路町146
中西印刷(株)学会部 内
日本移民学会事務支局
E-mail: jams@nacos.com