日本移民学会について

学会長からのメッセージ

2024-25年度会長 アンジェロ・イシ(Angelo Ishi)

 2024年6月に会長に就任したアンジェロ・イシです。名前から想像していただけるとおり、私は、祖父母が戦前にブラジルに渡った移民の子孫であり、移民研究者である以前に、日本を永住先として選んだ一人の「移民」です。日本語のネイティブでもなく、色々な意味で常識が通じなかったり、空気が読めないリスクも伴ったりする私に会長職を託してくださったこの学会の皆さまの寛大さに感謝申し上げたいと思います。そして竹沢泰子前会長や四役・理事会の皆さま、本当におつかれさまでした。
 心強いことに、副会長には頼りになる佃陽子先生と南川文里先生、そして事務局長を佐原彩子先生がお引き受けくださり、各種委員会の委員長・委員も素晴らしいメンバーが集まってくださいました。おかげで、無事にこれからの2年間の学会運営ができそうだと楽観しています。
 おそらくお察しだと思いますが、私が重視したい点の一つは国際化、および多言語化です。2024年6月の総会で国際委員会が新設されましたが、国際ワークショップに限らず、海外から来日している研究者によるセッションや、オンラインというツールを活用する企画など、学会のあらゆる場面で「国際化」を試みる余地はいくらでもあると考えています。また、前体制で年会費のクレジットカード決済という、海外在住者に配慮するサービスが導入されましたが、多様な属性や状況の会員にとってフレンドリーな学会になるための工夫を凝らしても良いとも思っています。
 一方で、日本に在住する「移民」とその家族の境遇への関心を高めていただけると有り難いです。今年(2024年)の年次大会シンポジウムでは、フィリピンルーツ第二世代のラボルテ雅樹さんが最近の「永住者資格取り消しを可能にしてしまう法改定」について、永住者を「いつでも日本から追放されていい存在」に貶めてしまったと発言しました。私もこの法改定には衝撃を受けていたので、彼の発言に強く共感しました。1990年の入管法改定を機に多くの南米出身の「日系人」が日本に移住しましたが、2023年末の時点でブラジル国籍者211,840人中、実に半数以上の115,287人が「永住者」です。在留外国人全体では891,569人がこの在留資格を取得しています。日本移民学会として、あるいは会員個々人が移民研究者として、ラボルテさんなど移民の様々な声を学界のみならず社会全般に(政策提言に繋げる可能性を含めて)どう反響させることができるのか、皆さまと一緒に模索することができれば幸いです。
 他方、日本からの出移民でも日本への入移民でもない、例えばウクライナ戦争で生まれた新たなディアスポラや、パレスチナのガザから他地域に移動した人々、さらには「環境移民/気候難民」や「デジタル技術の変革と移民」などにも視野を広げた研究や研究会などが活発化することを期待しています。 
 また、本学会員はそれぞれご自身の専門分野に関連する他の学会に所属している場合が多いと思われます。学会での「グッドプラクティス」、つまり本学会で取り入れても良いようなアイデアやヒントを、気軽に、積極的に提案していただければ嬉しいです。むろん、前例に捉われない、斬新な改善案も大歓迎です。日本移民学会の強みは学際的であることと、会員の広い意味でのダイバーシティです。理事会の構成に限らず、学会員全般の多様性、研究テーマの多様性などが進めば、嬉しい限りです。そのためにも、さまざまな立場の研究仲間や大学の仲間にぜひぜひ、入会を勧めていただくよう、ご協力をお願いいたします。
 これから2年間、皆さまの温かいサポート、よろしくお願いいたします! 

(2024年6月26日記)

理事会・各委員会体制

2024~2025年度理事会

2024年度理事会・各委員会体制

日本移民学会会則

日本移民学会会則

会員数

413人(2024年7月1日現在)


日本移民学会ロゴマークについて

ロゴ

日本移民学会の英訳「the Japanese Association for Migration Studies」の頭文字を構成しています。曲線による全体的なつながりは、移民・移住がもたらす様々な課題や問題を表すと同時に、多様な分野にわたる研究活動を行っている本学会の特徴を意味しています。
 また「j」は本学会員を象徴し、「AMS」の部分は「人々」がお互いに手を合わせている姿をイメージ化したものです。さらに、三つの丸点は「衣・食・住」の三要素を示しています。
 テーマカラーは「青」と「赤」。移住のためにわたってくる「海」と研究者たちの「情熱」をそれぞれに象徴しています。
 有機的に広がっていくこのロゴタイプは、日本移民学会が未来に向けて発展していくことを願い、その期待を込めてデザインしています。
(デザイン:金ミンコン、監修:正木賢一)

事務局・事務支局

《事務局》(本会全体に関する事項)

〒101-8437 
東京都千代田区一ツ橋2-2-1
共立女子大学国際学部 佐原彩子研究室気付
日本移民学会事務局
E-mail: imingakkai@gmail.com
*本学会へ書籍等をご恵贈いただく際には、編集委員会宛にお願いいたします。

《事務支局》(入退会、会費の納入、名簿登録事項の変更などの諸手続き)

〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル西大路町146
中西印刷(株)学会部 内
日本移民学会事務支局
E-mail: jams@nacos.com